11月の活動報告

2024年11月の活動をご報告します。

1.今月の活動

2024年5月から準備を進めていた「奥能登珠洲復興支援アート販売会」をアートフロントギャラリーで開催した他、販売会の会場でヤッサープロジェクトの活動報告会を開催しました。珠洲市では、スズ・シアター・ミュージアムのある大谷地区などが、豪雨による影響で水が使えません。作品・施設の泥かきをしつつ、地域と連絡をとりあいました。また、アーティストによるワークショップなどを通じ、集落との接点を広げていきました。

2.活動内容 

■奥能登珠洲復興支援アート販売会

アートフロントギャラリーでは、珠洲市の復興を応援するため、代官山ヒルサイドテラス秋恒例の「猿楽祭」において、「奥能登珠洲復興支援アート販売会」を開催しました。
「奥能登珠洲復興支援アート販売会」は、奥能登国際芸術祭に参加したアーティストから販売用の作品を出品していただき、その収益を珠洲の復興活動に充てようというものです。多くの方々にご来場いただき、多数の作品を購入頂きました。売上から送料などの経費を差し引いて、奥能登珠洲ヤッサ―基金に寄付していただきました。

〈奥能登珠洲復興支援アート販売会 参加アーティスト〉
アナ・ラウラ・アラエズ、シリン・アベディニラッド、ファイグ・アフメッド、リチャード・ディーコン、カン・タムラ、カールステン・ニコライ、エコ・ヌグロホ、大岩オスカール、青木野枝、浅葉克己、麻生祥子、EAT&ART TARO、池田晶一、石川直樹、牛嶋均、植松奎二、梅田哲也、OBI、Ongoing Collective、奥村浩之、小野龍一、大川友希、尾花賢一、角文平、河口龍夫、金氏徹平、久野彩子、栗田宏一、小山真徳、SIDE CORE、佐藤貢、さわひらき、塩田千春、四方謙一、芝山昌也、城保奈美、杉谷一考、鈴木泰人、高橋治希、泰然+きみきみよ、竹中美幸、中島伽耶子、南条嘉毅、Noto Aemono Project、のらもじ発見プロジェクト、橋本雅也、蓮沼昌宏、bacilli、眞壁陸二、三宅砂織、村上慧、村尾かずこ、盛圭太、山本基、弓指寛治、よしだぎょうこ、嘉春佳、吉野央子、力五山(アルファベット・50音順)

■ヤッサープロジェクト報告会

奥能登珠洲復興支援アート販売会の会場で、ヤッサープロジェクトの活動報告会を開催しました。会場には約30名の方にお越しいただき、オンラインでも多くの方が参加しました。報告会では、震災後10か月間で行ってきた活動を報告し、9月の豪雨の被害も含めた珠洲の現状、ヤッサープロジェクトの今後の課題について説明しました。

■猿楽祭「防災シンポジウム」

「災害が起きても住む人、働く人、訪れる人が助け合って生き残れるまち」を目指す代官山。猿楽祭の一環で、シンポジウム「防災はコミュニティをつくる」が開催されました。珠洲市の金田直之副市長から珠洲の災害対応についての報告があり、都市部である代官山ではどのような課題があるのか、日ごろからの災害への備えも含めて考える機会となりました。

〈シンポジウム登壇者〉
斎藤兼一(渋谷区危機管理対策監)
丸茂修子(防災士、代官山住民)
朝倉健吾(ヒルサイドテラス・オーナー)
石原貞治(親交会会長、代官山ステキなまちづくり協議会)
矢野美知代(代官山避難所運営委員会、猿楽町町会会長)
本所優(代官山T-SITE館長)
北川フラム(アートフロントギャラリー)
司会 前田礼(アートフロントギャラリー)

■スズ・シアター・ミュージアム分館の保全活動

大蔵ざらえの収蔵庫をかねたスズ・シアター・ミュージアムの分館。9月末の豪雨では会場周囲が土砂で包囲され、一部は会場内にも流入しました。建物の出入口の動線を確保し、土砂の水分による建物と収蔵品の劣化を防ぐため、建物周囲の泥掻きを行いました。人と物の最低限の出入りが可能となったため、中にある破損した収蔵品の保全を行っていきます。

▲作業前の分館のようす 周囲の土砂には崩れた小屋や、家財道具が埋もれている状態

▲建物周囲の土砂を掻き出し、建物の劣化を防ぎ、動線を確保しました。

▲泥水に浸った内壁を取り除き、館内に散らばったままだった窓ガラスの破片なども災害ゴミとして処分しました。

■まちで収集したものの整理

1952年に飯田町に開業した映画館「スメル館」が、震災の影響により、隣接する母屋とともに今年8月に解体されました。解体直前に家主から依頼され、映画館内に残されていた上映用スクリーンや映写機、観客席、看板などの備品を運び出しました。今回は採寸などの記録と保全作業を、アーティストの南条嘉毅さんと行いました。

▲スクリーンが張られていた舞台上の引き割り幕   ▲観客席としても使われていた木製ベンチ

■大谷地区の方々との懇談

スズ・シアター・ミュージアムのある大谷地区の方々と懇談しました。大谷地区は、8月に潮騒レストランが再開して以降、地元の方々が集まるワークショップなどを通して交流してきましたが、9月の豪雨で潮騒レストランが再び休業してからは会っていませんでした。芸術祭を通してつながりのあった方々にお集まりいただき、近況などを報告しあいました。また、大谷地区の復興計画についても、今後意見交換していくことになりました。

■経済同友会による復興に向けた会議

11月9日、経済同友会の能登半島地震支援イニシアチブ「のとマルチセクター・ダイアローグ」がのと空港で開催されました。経済同友会の会員企業など約50名と、地元行政、NPOとの意見交換会が行われ、ヤッサープロジェクトについても活動報告しました。また、分科会のひとつ「アート・文化部会」では、奥能登の復興にむけて文化芸術に何ができるかについて、話し合われました。

■珠洲と踊ろう!能登半島地震・珠洲応援 ダンスプロジェクト スズ× ひびのこづえ

11月15日~17日の3日間、ひびのこづえさんによる「能登半島地震・珠洲応援ダンスプロジェクト スズ × ひびのこづえ」が開催されました。今年の7月に第1回目が開催され、今回が2回目となります。

珠洲の海からインスピレーションを得て生まれたパフォーマンス「WONDER WATER」は奥能登国際芸術祭2017で発表され、その後全国各地で公演が重ねられてきました。
今回、パフォーマーのホワイトアスパラガスも久しぶりに珠洲に戻ってきました。
野々江総合公園でのダンスパフォーマンスは、両日ともお子さん連れのお客さんで賑わい、2日目は雨のちらつく中での決行となりましたが、みなさん傘を差しながら楽しんでくださいました。

ダンスパフォーマンスに加えて、ジャグリングのワークショップが、宝立小中学校 ・スズズカ・日置公民館と市内3カ所で開催されました。お手玉が得意なおばあちゃん、全身を使って挑戦する子供たち、多くの方が体を動かして、温まりました。

▲ジャグリング・ワークショップの様子

3.アーティストたちの動き

■『珠洲の話をしようよ、江の島で ~民話編~』

11月16日(土)、藤沢市を拠点に活動する建物を持たない劇場「ランドスケープシアター」と、2022年、2023年にスズ・シアター・ミュージアムで演劇公演を行ってきた「さいはての朗読劇」がタッグを組んで、1月に起きた令和6年能登半島地震、9月に起きた豪雨災害に対する支援を目的としたチャリティートークが、神奈川県の江の島にある、サムエル・コッキング苑で行われ、演出家の長塚圭史さん、詩人の大崎清夏さん、作曲家の阿部海太郎さん、俳優の常盤貴子さんが登壇しました。
珠洲市からも民話や昔話の読み聞かせを行っている「どんぐりの会」が招かれ、珠洲の現状などが話されました。坪野節子さん、正司美枝子さん、橋本伸子さんは長年珠洲に暮らし、元日の地震、そして9月末の豪雨でも被災されました。震災から今日まで、また今被災地はどうなっているのか、これから何が必要かなど、それぞれの立場で話されました。
民話の朗読では阿部海太郎さんが音楽を添え、美術家・南条嘉毅さんのイラストをKIGIがデザインしたチャリティグッズも販売されました。

4.珠洲のようす

〈住居〉
珠洲市内には現在3か所の避難所があり、約50人が避難しています。建設が完了している仮設および復興住宅は現在1,531戸、計画および建設途中のものはおよそ200戸です。
地震により全壊または半壊となった家屋等の解体・撤去を公費で賄う「公費解体」は、本受付を開始した3月25日以降の申請件数は4,668件、公費解体が実施されたのは2,082件となっています。

〈上下水道〉
断水は、早期復旧困難地区508戸を除き、断水が解消されています。
折戸地区では、豪雨によって浄化槽が土砂に埋もれ断水が続いていましたが、10月30日に復旧しました。大谷地区では、現在も断水が続いており復旧のめどは11月下旬頃と言われています。
避難所にもなっている大谷小中学校に隣接する集会所には、引き続き自衛隊による入浴支援が行われています。
その他、断水の続く地域について以下を参照ください。
▼上水道・下水道_珠洲市
https://www.city.suzu.lg.jp/site/r6-suido/ 

5.12月の活動予定

市民とアーティストによる奥能登の記録を集め、活用する「奥能登アーカイブ」のスタートにむけて、運用ルール、拠点の整備などを進めます。
珠洲市の復興計画づくりと連動して進めてきた市民からの意見ヒアリングをまとめ、珠洲市に提出する予定です。

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