10月の活動報告

2024年10月の活動をご報告します。

1.今月の活動

元旦の地震で被災した作品の撤去、令和6年能登半島豪雨で被災した作品の点検、泥掻き作業などを実施しました。豪雨の影響で、断水している地域も少なくなく、自衛隊による給水支援も続いています。

2. 10月の活動について

■アレクサンドル・コンスタンチーノフ作品撤去

第1回展である奥能登国際芸術祭2017に制作され、その後も常設の作品として親しまれていたアレクサンドル・コンスタンチーノフの作品「珠洲海道五十三次」の解体、撤去、保管作業を行いました。

美術家であり、数学者でもあるコンスタンチーノフ(2019年逝去)は、珠洲市のバス停に屋根付きの小屋があることに大変驚きました。自ら原材料のアルミの協力会社を探すなどし、当初3か所の予定を4カ所に増やしました。各バス停は、立地や周辺環境に応じてデザインされた造形物で囲われ、作品でありながらも、実際にバス停として使われ続けていました。しかし、元日の地震により、建物自体の損傷も激しく、危険なことから撤去することになりました。

作家自らが手がけた作品が設置されていたのは、能登瓦の伝統的な家並みの見られる正院、蛸島漁港の近くの川尻、春の間は珠洲の特産品であるわかめの干場として使われていた外浦の能登洲崎、日本海に沈む夕陽の光で銀色に輝く笹波口の四か所です。それぞれ解体し、保管のため日置ハウスの敷地に運び入れました。

▲正院バス停(2017年完成時)

▲川尻バス停(2017年完成時)

▲能登洲崎バス停(2017年完成時)

▲笹波口バス停 (2017年完成時)  以上4点 photo by Keizo Kioku

現在は、仮設住宅が建設された場所へバスの停留所も移り、作品が撤去された後のバス停は一回り小さく見えます。

▲正院バス停

▲川尻バス停

▲能登洲崎バス停

▲笹波口バス停

■旧日置公民館(さわひらき作品会場)の泥掻き

旧日置公民館は、元日の地震で外壁、窓、床など建物全体が被災し、設置されていた作品も、一時撤去していました。9月末の豪雨では、付近の折戸川が氾濫し、山の土砂崩れと相俟って、正面入り口および展示室に土砂が流入しました。また、床下浸水もありました。
豪雨からおよそ2週間後、作家と共に会場周辺の側溝の泥掻きを行いました。また、床下浸水した箇所の床板を剥がし、床下の空気を入れ替えました(カビの被害を防ぐため)。
今後も経過を観察して、必要な対応を実施していきます。

■スタッフ宿舎の整備

震災発生から9か月あまり、市内の宿泊施設を抑えることは難しく、ヤッサープロジェクトの活動時は、施設の空いたスペースにテントを張って宿泊していました。今後、アーティストなどの出入りも増えることから、飯田市内に民家を借り、宿舎として整備しました。

■10月12日(土)〈折戸集落での祭礼〉

日置地区折戸集落にて、神輿の巡行が行われました。キリコは被災して出せなかったため、神輿のみとなったそうです。海岸沿いに建つ日置神社からお神輿を担ぎ出し、震災後に折戸へ立てられた仮設住居の集まる折戸団地へと坂道を蛇行しながらお神輿を巡行しました。お神輿が団地へ到着すると、集落の方がつぎつぎと表へ出てきて、快晴の空の下で賑やかな時間となりました。団地で祝詞を上げ終わると、神輿を担いで再び坂道を下り、日置神社へ納めました。折戸の浄水場は今回の豪雨で埋もれてしまい現在断水中で、復旧は11月上旬が目途とされています。

■奥能登アーカイブの動き

10/24~25の日程で、NPO法人記録と表現とメディアのための組織[remo]の甲斐賢治さんの企画で視察ツアーが組まれ、アーティストの藤井光さん、[remo]の松本篤さん、「々」の野崎将太さんが参加しました。珠洲市内の宝立地区で「本町ステーション」を運営する松田咲香さん、高屋地区で「高屋いとなみ基金」を運営する吉田華子さんなどを訪ね、その取り組みについてうかがいました。

甲斐さんは、東日本大震災の直後、せんだいメディアテークの[3がつ11にちをわすれないためにセンター(通称_わすレン)]というアーカイブを立ち上げ、今も継続されています。「奥能登アーカイブプロジェクト」(仮称)では、アーティスト、市民が記録者となって、震災復興のプロセスを、震災前の珠洲とあわせて記録に残し、地域の記憶をまとめていこうとしています。

3.珠洲のようす

〈住居〉
珠洲市内には現在11か所の避難所があり、約100人が避難しています。建設が完了している仮設および復興住宅は現在1,508戸、計画および建設途中のものはおよそ230戸です。
地震により全壊または半壊となった家屋等の解体・撤去を公費で賄う「公費解体」は、本受付を開始した3月25日以降の申請件数は4,442件、公費解体が実施されたのは1,651件となっています。
豪雨後、公費解体がさらに進み、各所に空き地が多く見られるようになりました。これまで家の密集していた地区からも海が見通せるようになった道も多く、半島であることが実感されます。売りに出される物件も見られるようになりました。
川の氾濫で土砂とともに流れ着いた材木も、いまだ道路端に寄せられています。

〈上下水道〉
断水は、早期復旧困難地区321戸を除き、断水が解消されています。
折戸地区では、豪雨によって浄化槽が土砂に埋もれ断水が続いていましたが、10月30日に復旧しました。大谷地区では、現在も断水が続いており復旧のめど11月下旬頃と言われています。
避難所にもなっている大谷小中学校に隣接する大谷公民館では、引き続き自衛隊による入浴支援が行われています。
その他、断水の続く地域について以下を参照ください。
▼上水道・下水道_珠洲市
https://www.city.suzu.lg.jp/site/r6-suido/ 

〈交通情報〉
金沢から奥能登方面への特急バスのダイヤが変更されています。
詳細は以下よりご確認下さい。
http://www.hokutetsu.co.jp/archives/51749?ver1

4.11月以降の活動予定

■奥能登珠洲復興支援アート販売会

代官山ヒルサイドテラスで毎秋開催されている「猿楽祭」において、奥能登国際芸術祭に関わったアーティストたちが参加する「奥能登珠洲復興支援アート販売会」が開催されます。販売収益は、「奥能登珠洲ヤッサ―基金」に寄付されます。会場では、作品の展示・販売のほか、珠洲市の金田直之副市長を交えた防災をテーマとしたシンポジウム、ヤッサ―プロジェクト代表の北川フラムも交えた活動報告会を開催する予定です。

日時 2024.11.2[土]、11.3[日] 10:00-17:00
会場 アートフロントギャラリー(代官山ヒルサイドテラスA棟)

詳細は以下、アートフロントギャラリーHP内の記事をご確認ください。https://www.artfront.co.jp/jp/news_blog/sarugaku2024-01/

■珠洲と踊ろう!能登半島地震・珠洲応援

ダンスプロジェクト スズ× ひびのこづえ
2017年から奥能登国際芸術祭に参加しているひびのこづえさんが、震災以降2回目となるダンスプロジェクトを開催します。詳細については決まり次第、以下サイトにてご覧いただけます。
http://www.haction.co.jp/kodue/topics_01.html
〈開催日程〉
11/15(金)
 ワークショップ 14:00-15:00 @宝立小中学校 体育館
11/16(土)
 パフォーマンス
13:00- @野々江総合公園 (公開リハーサル 10:30-11:00)
 ワークショップ 15:00-16:00 @スズズカ
11/17(日)
 パフォーマンス 11:00- @野々江総合公園
 ワークショップ 13:00-14:00 @日置公民館
*どなたでもご参加頂けます。
参加費無料、事前予約不要、小雨決行(ワークショップは雨天決行)

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