2024年9月の活動をご報告します。
1.令和6年奥能登豪雨について
9月20日頃から、東北地方から西日本にかけての広い範囲で雷を伴った大雨となりました。石川県能登では、線状降水帯により大雨災害の危険度が急激に高まったことから、21 日に輪島市、珠洲市及び能登町に大雨特別警報が発表され、石川県の多いところでは 20 日から 22 日までの総降水量が500ミリを超え、9月 の1 か月間の平年の降水量の 2 倍を上回るなど、北陸地方や東北地方の日本海側では記録的な大雨となり、各地に甚大な被害をもたらしました。9月29日の時点では石川県管理河川の20 水系 27 河川において、氾濫による浸水被害が確認されました。
珠洲市においては、9月21日、22日の2日間で1時間あたり84.5ミリの観測記録史上最多の雨量によって氾濫した若山川、紀の川、鵜飼川、岡田川、磐若川、竹中川、折戸川の7河川の河川敷や欄干の周辺には流木や土砂がたまり、民家の一部や生育途中の田畑、収穫を待つ稲にも容赦なく泥が押し寄せました。
外浦全域、中でも潮騒レストランがある大谷集落では令和6年能登半島地震を凌駕する大規模な土砂崩れが起こり、2階建ての建物の1階部分が土砂で埋まり、2階の窓から出入りしなければならない場所もあります。地震後に修繕、開通した道路にも再び土砂が流れ込み集落を孤立させました。現在、電気はおおよそ復旧しましたが今も断水している箇所があり、節水を呼びかける市内放送が流れています。床上浸水した仮設住居もあり、再び避難所へ身を寄せる方もいらっしゃいます。
道路および水道等インフラ設備の復旧に時間がかかる地域も多く、不安な日々を過ごされる方も多くいらっしゃると思います。一刻も早い復旧を願っております。珠洲市の皆さんがこれからの一歩を踏み出す一助となれるよう、ヤッサ―プロジェクトでできることを行っていきます。
▽死者
県内15名(輪島市10名 珠洲市3名 能登町2名)
▽住宅被害
床上浸水:輪島市229戸、珠洲市10戸、能都町13戸
全壊:輪島市44戸、珠洲市9戸
半壊:輪島市359戸、珠洲市55戸
▽集落孤立 解消
9/23 時点
輪島市内で40か所 / 珠洲市内で14か所 / 能登町 北河内、田代のあわせて2か所
▽停電
9/24 時点
輪島市約2400戸 / 珠洲市約810戸 / 能登町約290戸 / 穴水町10戸未満
10/16時点
輪島市約330戸 / 珠洲市約70戸 / 能登町約10戸未満
▽断水
10/16時点
珠洲市414戸(ピーク1750戸)
▽開設避難所
輪島市 20箇所 342名 / 珠洲市 10箇所 43名 / 能登町 1か所 454名
※特に日時記載のないものは10月29日時点の情報です。
参照「石川県_令和6年(2024年)奥能登豪雨に関する情報_被害報告」
▼石川県災害関連情報
https://www.pref.ishikawa.lg.jp
▼珠洲市災害関連情報
https://www.city.suzu.lg.jp
義援金・寄付金の受付は下記をご確認ください。
▼石川県令和6年能登豪雨災害義援金
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/suitou/gienkinr0609.html
▼珠洲市能登半島地震災害義援金・寄付金
https://www.city.suzu.lg.jp/site/bousaisuzu/11594.html
■ボランティア活動について
珠洲市内全域に被害をもたらした豪雨ですが、特に山間部および外浦側の地域で大規模な土砂崩れが発生しました。高屋地区の民家では、家の周りの側溝に土砂が流れ込み、市内で声を掛け合い泥の掻き出し作業が行われました。市内各所で、泥の掻き出し作業が必要で、多くの方の支援が求められています。
ボランティアの募集をしているサイトのご紹介です。
▼珠洲市ボランティアセンター
https://ishikawa-vc.jimdofree.com
▼珠洲ボランティアキャンプ「ボラキャンすず」
https://about.montbell.jp/release/disp.php?id=687
※現在、応募が集中しているため、繋がりにくい場合がございます。各運営団体の規定や案内に従い、お手続きいただけますようお願い申し上げます。
■作品の被災状況
豪雨発生から約1週間後の9月29、30日に、奥能登国際芸術祭で制作された常設作品の被災状況の確認を行いました。
▼小山真徳「ボトルシップ」(若山地区)
作品へ通ずる道路が崩落し、車両の通行が出来なくなりました。
▼さわひらき「幻想考“The Butterfly Dreams”」(日置地区)
さわひらきさんと、改修設計を担当された山岸綾さんと現地で点検を含めた修繕計画に向けた打合せを9月中旬に行ったこところでしたが、今回の豪雨により、近くの川の氾濫等の影響で建物床下及び床上に浸水しました。
▼ラグジュアリー・ロジコ「家のささやき」(蛸島地区)
敷地内の川の氾濫等により、作品周辺に土砂が流入し、立入困難となりました。
▼中島伽耶子「あかるい家」(正院地区)
1月1日の震災の影響で進行していた雨漏りが、今回の豪雨で更に進行したようで、天井のシミの広がりが見られました。
▼スズ・シアター・ミュージアム分館(大谷地区)
分館の建つ集落に接する山斜面の大規模な土砂崩れにより、集落の建物のほとんどが飲み込まれました。分館入口には当初車両が衝突し玄関扉が中へ押しやられ、入口に接する部屋の一部に浸水被害が見られました。幸い、床下は改修工事の際に時にすべてコンクリートを入れていたため、床下浸水は起こりませんでした。
▼潮騒レストランおよび周辺(大谷地区)
建物自体の雨漏り、浸水、破損などは見られないものの、水道の停止および、敷地周辺の土砂崩れなどの進行も懸念され、現在立入が出来ない状態です。
■サポートスズの活動
今回の豪雨により、7月より活動拠点としていた潮騒レストランおよびスズ・シアター・ミュージアムへの立ち入りができなくなりました。引き続き、珠洲の今を発信するための記録活動を進めるとともに、ボランティア活動に寄与する情報発信なども行いながら、今後の拠点の再整備及び活動内容を再度検討していきます。
2. 9月の活動について
■「ちゃべちゃべサロン」第3回目について
珠洲市の復興計画策定へ珠洲市内外に暮らす被災された方々の意見をとどけるための交流の場づくりとして、サポートスズが運営母体となって7月より始まった、珠洲コミュニティデザインプロジェクト「ちゃべちゃべサロン」は、9月は潮騒レストランで「ブティック・スズ」を開催しました。
海浜あみだ湯で予定されていた「熱交換会」、ガクソー金沢支店で予定されていた「学校ってなんだろう」は、豪雨の影響により中止となりました。
*月ごとの開催数は各拠点で異なりますが、ここではひと月ごとに第〇回と表記しています。
▼「ちゃべちゃべサロン」について
サポートスズ (support-suzu.jp) (サポートスズHP)
▼「ブティック・スズ」@潮騒レストラン
スズ・シアター・ミュージアムに作品が展示されているアーティストの大川友希さんの企画で、縫う・貼る・編む、何でも体験できる交流会を開きました。布で作るお魚やエコバック作り、リメイク、古着の譲渡なども行われ賑やかな会となりました。
■「奥能登国際芸術祭オンラインショップ」再開
令和6年能登半島地震により事務所が津波で被災したため休業していた「奥能登国際芸術祭オンラインショップ」を再開しました。8月に発行した「奥能登国際芸術祭2023 記録集」の他、震災を乗り越え再開した店舗のリデザイン商品、津波の被害を免れた芸術祭公式グッズを販売しています。ぜひお買い求めください。
詳細は以下、芸術祭公式サイトをご覧ください。
https://shopping.corezo.co.jp/okunoto/
3.珠洲のようす
※以下情報は、奥能登豪雨による被害を含まない数値等となっております。
*数値の大きかったピーク時として2024年1月6日時点での情報です。
〈住居〉
1月1日以降の住居被害は、全壊が1738戸、半壊2056戸、一部破損1756戸。
仮設および復興住宅は、建設完了が約1,389戸、計画および建設途中が約250戸となっています。3/25より受付が開始された公費解体については、これまで申請件数1988件、解体実施済 1106件です(10月7日時点)。現在、珠洲市内で開設されている避難所は12箇所、101名の方が生活しています(ピーク時7122名*)。
〈断水〉
早期復旧困難地区(約400戸 8月時点)を除いて解消(ピーク時800戸*)。
※自衛隊による入浴支援は8月31日にいったん終了しましたが、この度の豪雨被害により活動が再開しています。
〈停電〉
ほぼ全域復旧(ピーク時7400戸*)
〈孤立集落〉
解消(ピーク時14箇所以上 *)
〈交通状況〉
のと里山海道が、9/10をもって全線対面通行可能となりました。
(のと里山海道・能越自動車道 は地震後大規模崩落28カ所を含む計178カ所が損傷)
のと里山空港は、午前便のみ運航しております( 1/6時点 全便欠航 )
金沢―珠洲間の高速バスは現在5本となり、震災前の本数に戻りました。(時刻変更あり)
(北率鉄道ホームページ http://www.hokutetsu.co.jp/archives/51749)
■珠洲の祭り
7~10月は珠洲ではお祭りの季節です。昨年は各地で「キリコ祭り」が開催され、芸術祭を見に来ていたお客さんも一緒にお祭りを楽しみ、大変賑わいました。今年は、震災後の復旧・復興の中、それぞれの形でのお祭りが見られました。
・9月11日(水)蛸島の早船狂言とキリコ祭り
・9月14日(日)寺家のキリコ祭り
・9月14日(土)正院のキリコ祭り
・9月14日(土)上戸のきゃらげ披露
・9月15日(日)正院の奴振り
・9月20日(金)飯田のキリコ祭り
・9月25日(木)野々江のキリコ祭り
上記以外で、神事のみ執り行われた地域もありました。
4.10月以降の活動予定
■奥能登珠洲復興支援アート販売会
代官山ヒルサイドテラスで毎秋開催されている「猿楽祭」において、奥能登国際芸術祭ゆかりのアーティスト59組による「奥能登珠洲復興支援アート販売会」が開催されます。販売収益は、珠洲への想いをつなぐために立ち上げられた「奥能登珠洲ヤッサ―基金」に寄付されます。会場では、作品を一堂に展示・販売すると共に、ヤッサ―プロジェクトの活動報告を行うとともに、また、猿楽祭では防災シンポジウムを開催。金田直之珠洲市副市長をお迎えし、珠洲の現在をご報告いただく予定です。
日時 2024.11.2[土]、11.3[日] 10:00-17:00
会場 アートフロントギャラリー(代官山ヒルサイドテラスA棟)
詳細は以下、アートフロントギャラリーHP内の記事をご確認ください。
■珠洲と踊ろう!能登半島地震・珠洲応援会
ダンスプロジェクト スズ× ひびのこづえ
2017年から奥能登国際芸術祭に参加しているひびのこづえさんが、珠洲でのダンスプロジェクトを7月に立ち上げ、その第二回目の開催が11月に決まりました。詳細については決まり次第、以下サイトにてご覧いただけます。
http://www.haction.co.jp/kodue/topics_01.html
〈開催日程〉
11/15(金)
ワークショップ 14:00-15:00 @宝立小中学校 体育館
11/16(土)
パフォーマンス 13:00- @野々江総合公園 (公開リハーサル 10:30-11:00)
ワークショップ 15:00-16:00 @スズズカ
11/17(日)
パフォーマンス 11:00- @野々江総合公園
ワークショップ 13:00-14:00 @日置公民館
*どなたでもご参加頂けます。
参加費無料、事前予約不要、小雨決行(ワークショップは雨天決行)
これから寒い季節へと移っていきますが、引き続き珠洲への支援、作品修繕および記録活動、アーティストの活動支援などを続けて参ります。