8月の活動報告

2024年8月の活動をご報告します。

1.今月の活動

震災後休業していた潮騒レストランが、浄化槽の修繕工事の完了に伴い営業を再開し、工事業者の方や、珠洲へボランティアに来ている方、珠洲にお住まいの方にもご利用頂きました。馬緤地区では砂取節まつりが復活し、交流の場づくりとして7月に始動した「ちゃべちゃべサロン」も引き続き外浦、内浦、金沢の三拠点で開催、道路の復旧も進んでいます。

奥能登珠洲ヤッサープロジェクトのホームページをリニューアルしました。今後、これまで重ねてきた珠洲市の方の暮らしの今を取材・記録する活動や、被害を受けた作品修繕の検討・実施についての報告を載せていきます。

2.活動内容

■潮騒レストラン営業再開

震災の影響で、食器や調理器具などへの被害、浄化槽の破損などによって長らく休業していましたが、7月末に修繕工事を終え、レストラン内の片付けなどを経て営業を再開しました。
8月10日にプレオープンし、火水木の週3日間の営業で、8/29の時点で322名の来店がありました。9月は曜日を変えて金土日の営業とし、工事関係者やボランティアの方だけでなく、珠洲へ訪れる様々な方の憩いの場となることを目指していきます。

■「ちゃべちゃべサロン」第二回目開催*

珠洲市の復興計画策定へ珠洲市内外に暮らす被災された方々の意見をとどけるための交流の場づくりとして、サポートスズが運営母体となって7月より始まった、珠洲コミュニティデザインプロジェクト「ちゃべちゃべサロン」が、8月も潮騒レストラン、海浜あみだ湯、ガクソー金沢支店、の3拠点で開催されました。
*月ごとの開催数は各拠点で異なりますが、ここではひと月ごとに第〇回と表記しています。
▼「ちゃべちゃべサロン」について
サポートスズ通信

▼「民具を使ったお茶会」@潮騒レストラン
2020年に芸術祭と関連して始めた「珠洲の大蔵ざらえプロジェクト」で、珠洲の市民から寄贈を受けた民具を使って潮騒レストランの空間を特別にあつらえ、デザートや飲み物を囲んで珠洲市内外を問わない交流の場が生まれました。空間のデザインは、スズ・シアター・ミュージアムにおいて造形・演出サポートを担って頂いたカミイケタクヤさん。
お茶会後にはアンケート調査を行い、参加者の現状の想いを緩やかに聞き取りました。

▼「熱交換会」@海浜あみだ湯
NPO法人ガクソーと連携しながら、復興プラン策定委員会に参加されている方、福祉課健康増進センターで働く方、集落で学生ボランティアの受け入れをしている方、市外からはマーケティングの会社に勤める方、学校をつくる案を出す会社で働いていた方など珠洲市内外を問わず多方面の分野で活動しているメンバーが集まり、情報交換を行いました。

▼「学校って何だろう」@ガクソー金沢支店
参加者に教育関係者を招き、子育て世代を中心とした二次避難者の声と意見の集約や、今の珠洲に必要な教育のありかたについて議論を行いました。7月の結果を踏まえて、今後「学校ってなんだろう」の会をNPO法人ガクソーとしてはほぼ毎週日曜日に行い、ちゃべちゃべサロンへも情報を共有することとなりました。

■視察等

8月11~12日 甲斐賢治さん(せんだいメディアテーク) 
ヤッサープロジェクトの主要活動として位置づけられているアーカイブ事業について、珠洲での展開方法の検討のため、珠洲市内を回りました。

8月14日 加藤勝信さん(衆議院議員)
内浦側で津波の被害の大きかった宝立町をはじめとした被災地と、外浦側ではスズ・シアター・ミュージアムの視察を行いました。

■スメル館の片付け手伝い

1952年に飯田町に開業した映画館「スメル館」が、震災の影響により、隣接する母屋とともに公費解体されることになりました。1976年に閉館してから約30年後に開催された奥能登国際芸術祭2017において、アーティストの南条嘉毅さんが「シアターシュメール」として作品化し、そのあとは作業場などとして使われておりましたが、この度解体が決まり、映画館内に残されていた上映用スクリーンや映写機、観客席、看板など備品等を運び出しました。映画館の所有者から南条さんへの相談で実現し、当日は珠洲に滞在していたボランティア8名ほどが参加しました。
片付けが終わり何もなくなったステージ上で、上下へ引いたままになっていた袖幕を開いてみると、映画館の方も数十年ぶりに見たという美しい絵が広がりました。
昨年開催されたさいはての朗読劇「うつつ・ふる・すず」において、“うみねこから聞いたお話”として多くの方へ語られた「銀座美容室」も、「スメル館」と同時に公費解体となりました。

■「奥能登珠洲ヤッサープロジェクト」のホームページリニューアル

ホームページを通じて珠洲の現状を発信し、珠洲の方々の要望に応じた片付けや修復、作品の修繕・撤去、ボランティア活動のコーディネートなど、地元のニーズに応じた活動を支援してまいります。
また、新しいコンテンツである「あるく みる きく」では、いまの珠洲の出来事を様々な形で紹介していきます。「今の珠洲を記録したい」という想いがある記録者を今後募集していく予定です。珠洲に想いを寄せる全ての人が集えるプラットフォームになるよう、ホームページの運用を進めていきます。
それに先立って開設した、インスタグラムの方でも珠洲の情報を随時更新してまいります。
https://www.instagram.com/yasserproject/

3.アーティストたちの動き

■村尾かずこさん 弓指寛治さん

8月13日に馬緤地区で開催された「砂取節まつり」へ、村尾かずこさんと、弓指寛治さんが参加されました。村尾さんは、今回の砂取節まつりに向けて、今年6月にはヒロセガイさん率いる芸術集団「京島駅」とともに東京墨田区京島駅雨祭りで、能登半島の復興祈願として「サザエみこし」を運行しました。さらに、避難所での食生活を支えた沢山のサザエの貝殻を使って、住民やボランティアの人たちと「サザエキリコ」も制作し、砂取節まつり当日は「サザエみこし」とともに、皆で担いで海岸を練り歩きました。
馬緤地区の避難所の空には、「いつかまた帰ってこられるように」という願いを込め、映画『幸せの黄色いハンカチ』にちなんで黄色い布が空に向かって張り上げられています。砂取節まつりにあわせ、この布に弓指さんが書いた「緤」の文字をモチーフとしたTシャツが作られました。弓指さんは、馬緤地区でのボランティア活動のため珠洲に滞在し、砂取節まつりへも参加されました。

▼砂取節まつりのようすについては以下リンクより、「あるく みる きく」の頁で詳細をお読み頂けます。https://oku-notosuzu.com/archive/20240915-612/

4.珠洲のようす

地区住民意見交換会の第二回目が、8月2日~28日にかけて市内全10地区で開催されました。
〈住居〉
珠洲市内には現在16か所の避難所があり、約170人が避難しています。建設が完了している仮設および復興住宅は現在1.232戸、計画および建設途中のものはおよそ400戸です。
地震により全壊または半壊となった家屋等の解体・撤去を公費で賄う「公費解体」は、本受付を開始した3月25日以降の申請件数は5,988件、公費解体が実施されたのは720件となっています。

〈上下水道〉
断水は、早期復旧困難地区419戸を除き、断水が解消されています。
▼上水道・下水道_珠洲市
https://www.city.suzu.lg.jp/site/r6-suido/ 

〈その他〉
能登半島地震の被災地で続けられてきた自衛隊の災害派遣活動が、8月31日に終了しました。派遣期間は240日を超え、地震の対応としては福島第一原発事故による除染作業などを除いて、最も長いものでした。

自衛隊による入浴支援も同日終了。防衛省によると、入浴支援での利用者は延べ約49万人でした。
今後の市内でご利用可能な入浴・シャワーについての情報は以下を参照ください。
https://www.city.suzu.lg.jp/site/bousaisuzu/11728.html#minei

5.9月の活動予定

■9月22日 経済同友会リーダーシッププログラム視察

■珠洲コミュニティデザインプロジェクト第三回目開催「ちゃべちゃべサロン」
9月15日(日) 「ブティック・スズ」@潮騒レストラン
9月22日(日) 「学校って何だろう」ガクソー@金沢支店 待合室
9月23日(月・祝) 「熱交換会(仮)」@海浜あみだ湯 2階
詳細は以下参照ください。
https://support-suzu.jp/9011-2/
この他、引き続き作品修繕および記録活動、アーティストの活動支援などを続けて参ります。

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